歌手のための発音教室 7時間目
二重の子音
日本語の五十音の特徴は子音ひとつ、母音一つで構成されているということ。そんな私たちが外国語の子音が二つも三つもくっついた語に出会うと、妙なことがおこります。たとえばtreno(電車)、strada(道)など、自動的に母音が入ってトレノtoreno、ストラーダsutoradaになってしまう。外国語の子音のなかにuやらoやら入ってしまうのは、頭の中が五十音で整理されている私たち日本人の宿命みたいなもんでしょう。
しかし、これではイタリア人にとっては全く別の言葉に聞こえてしまうばかりでなく、音楽的にも困ったことです。というのは、tre-no(2シラブル♪♪)がト、レ、ノ(3シラブル♪♪♪)に、stra-da(2シラブル♪♪)など、伸ばす棒を含めてス、ト、ラ、−、ダ(5シラブル♪♪♪♪♪)と、2倍以上になってしまう!
自分の間違いを棚に上げますと、saltare(跳ねる)がしばしばsalutare(挨拶する)になっちゃうことがある!意味的にもたいそう困ったことだと想像が付くでしょう?
では対策。
1)二重3重子音で始まるシラブルにであったら、一拍♪としてとらえる習慣をつけましょう。treの場合初めから口形をeの形にしておいてtreとやると間にoが入ってしまう余地がありません。straもはじめからaの口形で。
2)語中の二重子音はsal-ta-reのように前と後のシラブルに所属することもあります。(詳しい説明ははぶきます)そんなときも存在しないuやらoやらを入れないよう気をつけましょう。(2時間目Al di làの説明参照)