歌手のための発音教室 8時間目
二重母音
イタリア語の二重母音は普通一音節をなします。普通ピャ、ピュ、ピョ、キャ、キュ、キョ、ジャ、ジュ、ジョのように日本語の拗音のように発音する場合が多いのですが、アクセントの落ちる位置によってはioのように、日本語の二音節に相当する発音にもなります。しかし、そんな場合もイタリア語では一音節とみなされます。
io (私)は頭にアクセントがあるのでイオ、occhio(目)はアクセントがないのでオッキョ。già(既に)はジャだけれど、pia(敬虔な)はピアといった具合です。
これらは一音節つまり一拍と見なされているため、当然ひとつの音符の中に母音が二つも三つも入っていることが多い。拗音風に発音する二重母音なら問題はありません。日本語でも一音節なのですから。でも、たとえば、ioが一つの長い音符に乗っていたとする。アクセント感覚のない我々が「イオー」とやる。すると、イタリア人には「それ引け、ヨオッ!」のヨオッに聞こえちゃう。「そんな風に言ったつもりはないんです!」なんて言ってもそう聞こえちゃうんだから仕方ない。アクセントがらみのその手のトラブルはすごく多いのです。では解説と対策。ioのアクセントは頭にあります。たとえ♪のように短い音に乗っていても、ppでも、イにしっかりアクセントをつけて発音しなければなりません。さもないとヨになっちゃうから。強弱アクセントの習慣のない我々にはなかなか難しい注文ですよね。そこでうまくごまかす秘訣。「アクセントのついた母音は長くなる」というイタリア語の特徴を逆手にとって、イーォと発音すればよろしい。特に長い音符に乗っている場合、イォーーーじゃなくて、イーーーォとやれば「ヨオッ!」に聞こえません。
ほかにも、mio, magia, bugiaなどiにアクセントの落ちる語も同様。みょー、まじゃー、ブジャーとならないためには、ミーーーォ、マジーーーァ、ブジーーーァとやろう!
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