歌手のための発音教室6時間目

M Nとンの違い

 

ドン・バッキーの名曲lImmensità を歌うとき、高音で「リンメンシター」とやるのは難しいけれど、どうしたらいいのかとのご質問をいただきました。そう、カタカナ通り「リンメンシター」と高音域で発音するのはほとんど無理な話です。なぜなら日本語の「ン」というのどを絞った音が二回も出てくるから。でもご安心。イタリア語には「ン」なる音はありません。ではカタカナで便宜上「ン」と表記されるイタリア語の本当の発音を見てみましょう。

1)マンマ(お母さん)mamma

2)ノンノ(お祖父さん)nonno

manoの音は日本語のマ、ノの発音と変わりがないので問題ないのですが、mmannoとなるとカタカナでンマ、ンノと表記されるせいか、曲者、日本語の「ン」が入ってしまうんですね。特に歌の中でながーく伸ばすと、無意識に入ってしまう。ですから、まず、日本語の喉を使った「ン」の音を歌から追放しましょう。

Mは唇をムッと結んでから破裂させるときの音、nは舌を歯茎にあて、ヌッと鼻に響かせて出す音です。ですからそれぞれのポジションをしっかり意識して歌えば、日本語の「ン」の入ってしまう余地はないはずです。

ついでですが、nonのようにnで終わる言葉のときも、日本語の「ン」になってしまいがち。「ノン」というよりは、「ノンヌ」という気持ちで発音してください。実際イタリア人にゆっくり発音させてみると、「ノンヌ」と聞こえますよ。

 

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