歌手のための発音教室2時間目

 LR

 

これも音声学的にはまったく違った音なんですけど、われわれ日本人にはどうも違いがききとれないんですよね。というのも、日本語には厳密にいってLの音もRの音も存在しないからなのです。ラリルレロの音はローマ字ではRで表記されますが、音声学的には弾き音といって側面音Lと、震え音Rの中間みたいな音。でも、日本人はラリルレロをLに近く発音する人、Rに近い発音する人と二つのグループに分けられるように思います。というのも、Rが発音できない人と、Lが発音できない人にはっきり分かれるからです。たとえばベランメエの得意な私は幼稚園時代からルルルルルと巻き舌が得意でした。だからイタリア語のRにはちっとも苦労しなかったのです。一方、舌足らずでラリルレロがどうしてもla li lu le loになってしまう劇団のお友達もいました。そんな人は逆にLが得意です。また、中国にはLしかないのも有名で、意地悪なイタリア人は中国人や日本人の物まねをする時、Rを全てLで発音するんですよ。

さて、まず私も苦手だったLからいってみましょう。日本人の苦手なアル・ディ・ラal di la'の曲を使いましょう。

1)アーと発音する。

2)そのまま舌先をべったり前歯のうらに押し付ける。はい、alのできあがり。簡単でしたね。

3)そのまま舌を離さずにdiに行く。(ここで舌は歯茎から離れますね)

4)こんどははじめから舌を歯茎にべったりくっつけておいてからアと言う。

こうしてゆっくり発音するとすごく簡単なのに、どうして歌ってるとカタカナのアル・ディ・ラになっちゃうんでしょうか。それは日本語の癖で思わず舌を弾いてしまうから。また、必ず母音で終わる日本語の癖でalのあとにuが入ってしまうから。この曲はLの発音練習に絶好です。tu(あなた)が続出するのでuの練習にも絶好です。uがうまく発音できなかった頃、この曲を歌うたび友人に大笑いされました。イタリア人は日本人みたいに外人にやさしくありません。変な発音で歌えば遠慮無く大笑いされるから、がんばりましょうね!!!

次はRです。Rは震え音、つまり舌をぶるぶる振るわせる音ですが、音を伸ばすときや強調する時意外は弾き音、つまり舌を一回ロンと弾いただけでいいのです。

1)日本語でゆっくり、はっきりラリルレロと言ってみましょう。その時舌が口の中でピチピチ跳ねてる感じのする人は、そのままイタリア語のRとしても通用します。それでも巻き舌のできない人は、やっぱり練習しておきましょう。

2)舌の力を思いっきり抜いてベロンベロンにしたまま軽く歯茎のちょっと後ろあたりに当てる。

3)その舌に向かってドゥーッと思いっきり息を吹きかけると、ドゥルドゥル震えるでしょ。そう、と言いながらやると震えない人は唇や舌に余計な力が入ってるから。一人きりの部屋で、顔中ベロンベロンにして練習しましょう。

4)しっかり震えるようになったら、peと言った直後に舌を震わしてみましょう。「ぺー(ブルブル)」って具合です。できましたか?はい、これでper(…のために)のできあがり!

 

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